歯科なんでも事典で調べよう
歯科なんでも事典で調べよう Dictionary Research

むし歯
根面むし歯と
根尖病巣 一覧へ戻る

Root caries and apical lesion

根面むし歯は40代以降に発生

むし歯は、歯垢の中にいるミュータンス菌が、食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、その酸によって歯が溶けてしまう病気です。若い人は、かみあわせの溝や歯と歯の間にむし歯ができることが多いのですが、40代以降は、歯の根元にできる根面(こんめん)むし歯が増えてきます。根面むし歯は、ミュータンス菌とは別の菌が関与している可能性があり、今までむし歯とは無縁だった人も、根面むし歯ができてしまうことがあります。
本来、歯の根元は歯肉に覆われていますが、歯肉が下がるとエナメル質より酸に弱い象牙質が露出し、むし歯ができやすくなります(図1)。歯肉が下がる原因には、進行した歯周病以外にも、歯周病が治癒し歯肉がひきしまった場合や歯ブラシを強く当てすぎた場合などがあります。予防意識が高まり、歯が多く残るようになった反面、むし歯が増えるという皮肉な現象が起きているのです。

図2

歯ブラシの誤用で歯肉がさがり、
露出した歯の根にできたむし歯

  • 01

    歯垢がたまりやすい歯の根元を、力を入れ過ぎずに歯ブラシを細かく丁寧に動かしみがく

  • 02

    就寝前にはむし歯予防に効果的のあるフッ素化合物を配合した歯みがき剤やジェルを仕上げに使い、少量の水で軽くうがいする程度としてフッ素を残す

  • 03

    歯科医院で定期的にチェックを受け、高濃度のフッ素化合物を塗布してもらう

また、砂糖が入った飴(のど飴も)や清涼飲料水を長い時間かけてだらだら摂らないことも大切です。口が乾燥しやすい年代では、むし歯を誘発させないガムをかむ、飲み物はお茶にするなどの工夫も必要でしょう。

図1

歯ブラシの誤用で歯肉がさがり、
露出した歯の根にできたむし歯

根尖病巣とは?

神経を取った歯が痛んだり、歯の根元あたりの歯肉がぷくっと腫れる場合がありますが、これは「根尖病巣」と言い、根の先に炎症が起こって膿が溜まっている病変です。

一般的にはむし歯が進行して歯の中の神経(歯髄:しずい)に近づくと痛みが出ますが、その場合には、炎症が起きてしまった神経を除去して、その神経が入っていた根管にパッキング剤をつめる根管治療(こんかんちりょう)を行います。この治療により痛みは治まりますが、治療中や治療後に、何かしらの原因で根管の中に細菌が入りこむと、歯と顎の骨の間にある歯根膜に炎症が広がって痛みを生じます。さらに、この炎症が慢性的になると、神経を取る治療をしてからしばらくして、歯の根の先端の顎の骨の中に膿が溜まるようになり、その膿が粘膜内に流れ出て、歯肉がぷくっと腫れます(図2)。この腫れは自然に潰れて膿が出ると一時的に引きますが、放置すると体調が悪い時などに膿が溜まって再度腫れてきます。
根の先にできた病巣が小さいうちは、根管を再治療することで健康を取り戻すことができます。放置しないで、一度歯科医院で診てもらいましょう。

図2

歯の根の先端部分に膿がたまり、
歯肉まで広がって腫れた状態