むし歯
フッ素による
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Utilization of Fluoride
フッ素って何?
フッ素は常温では気体で、自然界ではフッ素化合物(フッ化物)として存在しています。微量ですが、空気や土、水、食品などいろいろな物に含まれていて、私たちの気が付かないうちに摂取しています。例えば、緑茶の葉には約500 ppm、飲むお茶には0.2~0.8 ppmのフッ素が含まれています。

フッ素の役割は?
フッ素は、歯の質を丈夫にします。また歯を溶かしてむし歯を作ってしまう酸に対する抵抗力を強くしてくれます。歯の表面のエナメル質では、図のように常に脱灰と再石灰化のシーソーが行われています。
再石灰化が強ければ強い歯(健康)になり、脱灰が強ければむし歯になってしまいます。右の図のようにフッ素は再石灰化の手助けをしてくれるので、シーソーは再石灰化が優勢になり、むし歯になりにくい歯(健康な歯)を作ることができます。専門的には、エナメル質は主にハイドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの結晶からできていますが、フッ素を取り込んでフルオロアパタイトというものに変化します。つまり歯を脱灰する酸に対して、抵抗力の強い結晶構造に変わるということです。

フッ素を使えばむし歯にならない?
フッ素はむし歯予防に対してとても効果があります。しかし、「フッ素さえ使っていればむし歯にならない!」という考えは危険です。ブラッシングや食事、間食の摂り方などがきちんと管理されていないと、フッ素の効果は半減ないしは全く意味のないものになってしまいます。まずはブラッシングを含めた生活習慣を見直し、必要があれば改善しましょう。

フッ素は子供にだけ有効?
子供の生えたての歯はエナメル質の構造が脆いため、酸に対する抵抗力が弱く、むし歯になりやすいのでフッ素がとても有効です。大人でも、歯周病にかかったことのある方は、それが改善されてくると、歯の根の部分が露出し、歯の根の面にむし歯ができたり、冷たい物がしみやすくなります。これらの予防や症状の改善にもフッ素がとても効果的に作用します。

フッ素の使い方は?
一番手軽に使えるのは、フッ素入り歯みがき剤です。
市販されているフッ素入り歯みがき剤には適切な濃度(950ppm前後)のフッ素化合物が配合されています。
さらに2017年3月からはフッ素イオン濃度の上限が1500ppmの物も市販されるようになりました(ただし6歳未満の子供には使用を控える)。
また、歯科医院専用として販売されているものも多く、ペーストタイプ・ゲル状タイプ・泡状タイプなどのフッ素入り歯みがき剤があります。
歯のはえ始め~2歳 | ゴマ粒程度 |
3歳~5歳 | エンドウ豆程度(5mmくらい) |
6歳~14歳 | 1㎝程度(歯ブラシの半分) |
15歳以上 | 2㎝程度 |
表 フッ化物配合歯みがき剤の年齢別使用量
日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編 う蝕予防の実際
フッ化物局所応用実施マニュアル(2017)より引用・改変

使用法
01
歯ブラシに年齢に応じた量(表)の歯みがき剤をつける
02
みがく前に歯みがき剤を歯面全体に広げる
03
2~3分間歯みがき剤の泡立ちを保つような歯みがきをする
04
歯みがき剤を吐き出す
05
10~15mLの水を口に含む
06
5秒間程度ブクブクうがいをする
07
洗口を1回のみとして、吐き出した後はうがいをしない
08
その後1~2時間程度は飲食をしない