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プラークコントロール
歯みがき剤・洗口液 一覧へ戻る

Toothpaste / mouthwash

スーパーや薬局で、棚に並ぶたくさんの歯みがき剤や洗口液を前に、選ぶのに迷った方も多いと思います。
むし歯予防や歯周病改善・予防、歯を白くするもの、口臭予防など、数々の効能が表示され、
一般の方にはかえってわかりづらくなっています。
そこで今回は、歯みがき剤と洗口液の選び方をご紹介します。

むし歯予防にはフッ化物が有効です

むし歯予防に最も効果があるのは、フッ化物(成分表示:フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化スズ(SnF2)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)の3種)です。これらには、歯の表層を強くする、再石灰化(*)を促進する、むし歯の原因であるミュータンス連鎖球菌の活動を抑えるなどの作用があります。市販されている歯みがき剤の90%にはフッ化物が入っていますが、その効果的な使い方をご紹介します。まず何もつけずにブラッシングをして、舌で歯の表面をくまなくさわってみて「ぬめり」がとれたことを確認します。その後、フッ化物が配合された歯みがき剤を歯ブラシの植毛部の3分の2程度(大人は1g)のせ、すべての歯にまんべんなくいきわたるようにブラッシングし、最後に10~15㎖(おちょこ1杯)の水でさっとゆすぐ程度にして、フッ化物を口の中に残すようにします。特に、就寝の前に行うのが効果的です。また、フッ化物が入った歯みがき剤でも、ペースト状のものよりはジェル状のものがより口の中に残留しやすく効果が高いといわれています。

*再石灰化=食事後にミクロレベルで歯の表層からカルシウムやリンが奪われた後、唾液中のカルシウムやリンが再び沈着し、元の状態に戻ること。

むし歯予防にはフッ化物が有効です

研磨剤には注意が必要です

歯を白くすることを謳っている歯みがき剤は、研磨剤やステインを浮き上がらせる成分が配合されたものです。歯の表面にこびりついた食品由来のしぶ(ステイン)やたばこのヤニをブラッシングでこすり落とし、本来の白さに戻すもので、歯の色を変えるような成分は入っていません。研磨剤の粒子が粗いものは歯の表面をキズつけてしまい、かえってステインがつきやすくなるので、頻繁な使用は避けましょう。

研磨剤には注意が必要です

歯周病の改善・予防には歯みがき剤と洗口液は補助的に

歯周病の予防・改善効果にエビデンス(科学的根拠)があるのは、グルコン酸クロールヘキシジンが唯一です。残念ながら、日本ではアレルギーの問題から有効濃度が得られる製品は販売されていません。他に塩化セチルピリジニウムなど殺菌効果があるとされている成分もありますが、歯みがき剤の発泡剤や味に惑わされ、歯垢がとれきれていないのにみがけた気持ちになってしまうおそれがあります。そこでむし歯のフッ化物配合歯みがき剤と同様、まずは何もつけないでみがき、その後に歯みがき剤を歯ブラシにつけて補助的に使用することをお勧めします。
歯周病菌を含む歯垢は、バイオフィルムといって非常に頑強な膜でおおわれており、洗口液の薬液は、そのバイオフィルムを透過することが困難です。そのため洗口液で口をゆすいだだけでは効果は望めず、過信は禁物です。物理的に歯ブラシや歯間ブラシ、フロス等で歯垢を歯面からはがしとったうえで、はじめて薬効が期待できます。また、爽快感を出すために含まれているアルコールは、口の中の水分を奪い乾燥させてしまうことがあります。粘膜への刺激も強いことから、なるべくアルコールが含まれていないものを選びましょう。
歯周病の改善・予防に一番大切なのは、歯ブラシやフロス、歯間ブラシ等を使い機械的に歯垢を除去することです。歯みがき剤や洗口液は補助的なものと考えましょう。

むし歯予防にはフッ化物が有効です