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Oral care goods

「口の中を清潔に保つことが、むし歯や歯周病の予防のためだけでなく、全身の健康を守るのに大切である」といわれています。これは「口腔ケア」と呼ばれ、「口をきれいにするケア」と「お口の機能を高めるケア」の二つに分類されます。今回は「口をきれいにするケア」の一つである口の粘膜と舌のケアに関してご紹介しましょう。

高齢者のお口の問題は?

加齢や病気により体にさまざまな変化が起こりますが、高齢者や介護が必要な方のお口の中もいろいろな問題が起きてきます。口のまわりの筋肉が衰えて、噛む、飲み込む、話す、笑うなどのお口の機能が低下すると、うがいも十分にできなくなり、唾液分泌の減少もあいまって自浄作用が働きにくくなります。結果的にお口の乾燥(ドライマウス)、むし歯や歯周病の進行、口臭の原因となります。

なぜ粘膜・舌ケアが必要なの?

通常であれば、うがいだけでもある程度口の中はきれいになりますが、機能低下を起こした口の中は歯だけではなく、頬や唇の内側、上あご(口蓋)、歯ぐき、舌の粘膜にも、食べかすや細菌が付着します。また口腔内や口のまわりの筋肉に麻痺がある場合は、麻痺のある側の粘膜に、多くの汚れや細菌が残ります。自浄作用が低下している場合、歯みがきだけで汚れや細菌をしっかり取り除くことが難しくなるため、粘膜と舌のケアが必要となります。

粘膜ケアの道具

01

口腔ケアスポンジ
(スポンジブラシ)

スポンジブラシは、先端がスポンジでできている棒状のブラシです。水で湿らせたスポンジ部分で、粘膜についた汚れをやさしく取り除くことができます。スポンジの形状や大きさは数種類ありますが、使いやすいものを選びましょう。なお、ケアスポンジは使い捨てです。

02

口腔ケアティッシュ

口腔ケアのためにつくられたウエットティッシュで、それ自体が水分を含んでいるため、水などを使う必要がなく、誤嚥の危険性が高い方の粘膜のケアをするのに適しています。

03

保湿剤

保湿剤(保湿ジェル)は、乾燥している口腔内に潤いを与えるだけでなく、汚れを浮き立たせる効果もあります。

粘膜ケアの方法

高齢者の多くは粘膜が乾燥し、硬くなっています。乾燥している粘膜は、ほんの少しの刺激も痛みとして感じます。無理をせず少しずつ、やさしくケアしていくことが大切です。粘膜のケアを行うと、粘膜の新陳代謝が促され、口の筋肉のトレーニングや唾液分泌の促進など「口の機能を高めるケア」にもつながります。

頬の内側

頬と歯ぐきの間に器具や指を入れて、汚れをかき出すように奥から手前に数回動かします。

唇の内側

唇と歯ぐきの間に器具や指を入れて、やさしく左右に数回動かして汚れを取り除きます。

上あご(口蓋)

痛くない程度の力で、上あごの奥から手前に器具を 5 回程度動かして汚れを取ります。

舌のケアで口臭予防も!

舌苔とは、舌につく白っぽい汚れのことで、細菌、唾液の成分、食べかすなどの集合体です。抵抗力が落ちている高齢者にとっては、細菌が多く含まれている舌苔がたくさん付着していると「誤嚥性肺炎」の危険性が高まるので、全身疾患の予防のためにも舌苔の除去が必要になります。また口臭予防にも舌のケアは有効です。
舌のケアには専用の舌ブラシを使います。やわらかい毛のものやスポンジタイプのものなど多くの種類がありますが、決して通常の歯ブラシは使用しないでください。歯ブラシの硬い毛で清掃すると、舌が傷つき、かえって口臭が強くなってしまう場合もあります。
「口は健康の入り口」です。歯ブラシや歯間清掃用具による歯のケアはもちろんのこと、粘膜と舌のケアも行って全身の健康を守っていきましょう。

舌ブラシと舌ケアの方法

舌苔がより溜まりやすいところは「舌根部」ですが、軽い圧力(50g程度)で舌根部から手前に向かって5回程度かき出します。大量の舌苔がある時には舌清掃をじっくりと継続していきましょう。