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プラークコントロール
義歯・マウスピースの
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Care for dentures and mouthpieces

入れ歯(義歯:ぎし)やマウスピースは、かみ合わせを回復したり、歯ぎしり・食いしばりを予防したり、
外傷から歯を守るために、いずれも大切な道具です。
しかし、義歯やマウスピースについた細菌やカビが、むし歯や歯周病、そしてカンジダ症など口の
環境を悪化させてしまうことがあります。
今回は、義歯やマウスピースの正しいケア方法をお伝えしましょう。

義歯の基本的なお手入れ

昼間につけていた義歯も、夜はバネがかかる歯や粘膜を休めるため、また義歯の乾燥による変形を避けるため、はずして水の中に保管します。
ただし、咬み合わせによっては、残っている歯を守るために義歯をはずさないほうがよいケースもあるので、かかりつけ歯科医の指示に従いましょう。

義歯みがき(機械的清掃)

義歯用のブラシや、チップブラシを使って、義歯の表面についたデンチャープラーク(歯垢と同じ成分で、義歯の上にこびりついた乳白色のぬめり)を機械的にこすりとります(義歯みがき、図1・図2)。これは水で流したり、義歯洗浄剤に入れただけでは除去することができません。食事をした後は義歯をはずして、義歯みがきを行います。その際、普通の歯ブラシで歯みがき剤をつけてごしごしみがくと表面が傷つき、かえってデンチャープラークがつきやすくなったり、人工の歯がすり減ったりします。専用のブラシを使い、フォーム(泡)状の義歯用みがき剤を使うようにしましょう。また、義歯のバネがなくプラスチック素材でできているノンクラスプデンチャーは、表面が軟らかいため、軟らかい歯ブラシやスポンジブラシ、綿棒などで清掃します。なお、洗面所で義歯みがきをするときには、義歯を落として変形したり壊れたりしないよう、シンクや洗面器に水をためたり、濡れたタオルを敷くなどの工夫をしましょう。

義歯みがき(機械的清掃)

図1

義歯みがき(機械的清掃)

図2

義歯洗浄剤(化学的清掃)

デンチャープラークを機械的にとった後は、水をはった容器の中に、義歯洗浄剤を入れます(図3)。つけておく時間や頻度は、各洗浄剤の説明書に従ってください。義歯洗浄剤には、さまざまなタイプがありますが、歯にかけるバネや義歯の構造上金属が使用されている部分は、次亜塩素酸や酸が入ったものを使うと黒く変色してしまうため、部分入れ歯専用と表記してある義歯洗浄剤を使います。特にチタンを使用している義歯は変色が起こりやすいため注意が必要です。また部分入れ歯は構造が複雑なため、超音波洗浄機を併用するとさらに清掃が効果的になります。再度、お口に入れる前には、よく水洗いをしてから装着します。なお、熱湯による消毒は、義歯の変形や脱色を招くので絶対にやめましょう。

義歯みがき(機械的清掃)

図3

保管方法

保管は、専用の容器を使うことをお勧めします。ティッシュ等でくるんで枕元に置くと、あやまって踏んでしまったり、捨てられてしまうこともあります。災害時にもすぐに持ち出せるように、いつも同じ場所に保管しておきましょう。

マウスピースのお手入れ

マウスピースには、歯ぎしり・食いしばりが歯や歯肉、顎関節に害を及ぼさないないようカバーするナイトガード、スポーツ時に外傷を予防するマウスガード、睡眠時無呼吸症候群用のスリープスプリントⓇなどがあります。いろいろな素材でできていますが、いずれも義歯と同様、プラークがついたまま使用しているとむし歯や歯周病が助長されてしまいます。スポーツ選手で、水のかわりにスポーツドリンクでマウスガードを洗っていて、むし歯が多発してしまったケースもありました。使用後は、きちんと歯ブラシや義歯用ブラシで機械的にプラークを除去し、専用の容器の中に保存します(図4)。また弾力性のある素材でできているナイトガードは、義歯洗浄剤も使い、素材の中にしみこんで臭いの原因にもなる細菌を除去し、清潔に保ちましょう。

マウスピースのお手入れ

図4