よくある質問
よくある質問とその回答を、カテゴリ(分類)からお調べいただけます。
所得税法上の扶養親族は「生計を一にする親族で、所得金額が一定以下の者」であるのに対し、健康保険法上の被扶養者は「主として被保険者により生計を維持している者」である点が大きな違いです。
具体的には、収入の考え方や基準金額、家族・親族の考え方に下記のような違いがあります。
<「年間」の範囲>
所得税法上の扶養親族は「その年の1月1日から12月31日の実際の年間収入」で判断します。
健康保険法上の被扶養者は「今後1年間の収入見込」で判断します。
「今後1年間」というのは、認定の際は「認定日後1年間」、被扶養者資格確認時は「資格確認実施日以降1年間」、就職等で収入状況に変更があった場合は「変更が発生した日以降1年間」ということです。
※収入の状況に変動がない場合は、前年の年収がそのまま今後1年間の収入見込となりますが、退職や就職等、状況の変動がある場合は、変動の発生ごとに「変動日以降の収入見込」を推計することになります。
このため、「6月に退職して収入がなくなった(1月~6月の収入は200万円)」といったケースの場合、所得税法上はその年は扶養親族とならないが、健康保険の被扶養者には該当する(退職日の翌日以降)、というように、「所得税法上の扶養親族かどうか」と「健康保険法上の被扶養者かどうか」が一致しないこともあります。
<収入の範囲>
所得税法上の扶養親族の判定における「収入」「所得」には、非課税のもの(一定以下の金額の通勤手当など)は含まれません。
一方、不動産の売却益等の一時的なものであっても、「収入」「所得」に含まれます。
健康保険の被扶養者の判断における「収入」は、課税・非課税や、給付目的等を問わず、継続して得られるすべてのものを指すため、通勤手当、遺族年金、出産手当金、雇用保険の各種給付(基本手当・育児休業給付等)なども含まれます。
一方、不動産の売却益等の「今後継続する見込みのない一時的な収入」は含まれません。
なお、所得税法上は収入から必要経費(給与所得控除等含む)を差し引いたものを「所得」と呼びますが、健康保険の被扶養者の判断は経費等控除前の「収入」で行います。
例)
給与収入の場合→税や社会保険料等の控除前の金額(給与明細で「総支給額」として表示されるもの)
年金収入の場合→税や社会保険料、公的年金等控除額を差し引く前の金額
<親族・家族の範囲>
所得税法上の扶養親族は「6親等内の血族と3親等内の姻族」とされており、「戸籍上の親族である」ことが必要ですが、同居は必ずしも要件とはなっていません。
健康保険の被扶養者は「① 直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹(同居・別居問わず)」「② ①を除く、被保険者の3親等内の親族(同居のみ)」となっており、続柄によっては同居が要件となります。
また、戸籍上親族ではなくても、実態として婚姻関係にあると認められれば、いわゆる内縁の妻等も被扶養者として認定される場合があります。(届出を出せば婚姻関係が成立することが必要ですので、重婚や再婚禁止期間等、婚姻関係が成立しえない人は認定できません。)
<夫婦共同扶養の考え方>
健康保険では、共働きの夫婦が子を扶養しているなど、夫婦が共同して家族を扶養している場合、扶養されている家族は、全員、夫婦のうちどちらか収入の多いほうの被扶養者となります。
このため、例えば、長男は夫の被扶養者、次男は妻の被扶養者、とすることは原則としてできません。
所得税法上の扶養親族にはその考え方はありませんので、長男は夫の扶養親族、次男は妻の扶養親族とすることも可能です。