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顎関節症 一覧へ戻る

Temporomandibular Disorders

ものを食べようとすると顎がカクカクする、顎が痛くて口を開けづらい、20歳前半の女性では前者は4割、後者でも1割近くの方が自覚を持っています。

顎関節症の症状

口を開けると顎が痛い(顎関節痛)、口を大きく開けられない(開口障害)、顎を動かすと音がする(関節雑音)の3つを主な症状とする、顎関節や関節周囲の筋肉・じん帯、下あごを動かす筋肉(咀嚼筋)に生じる障害で、関節リウマチなど他の病気がないものを、顎関節症と呼びます。

顎関節症

顎関節症の構造と病態

顎関節は、図のように頭の骨のくぼみに、関節円板を介して下あごの上の先端部(下顎頭)が入り込む構造になっています。ところが、ここに持続的に力が加わると、関節円板にズレを生じ、口を開ける時に下顎頭がこすれてカックンと音がしたり、ズレたままロックしてしまうと、下顎頭がひっかかり口が開かなくなります。また顎関節の内部や後方の組織に炎症を起こしたり、咀嚼筋や関節をくるむ関節包、じん帯が損傷したりすると痛みが出ます。

顎関節症の構造と病態

顎関節症の原因

顎関節症の原因は不明な点が多いのですが、近年では下記のようないくつかの要因が組み合わされ、個人の適応能力を超えてしまうと症状が現れるとされています。

  • 歯ぎしりや食いしばり

  • 上と下の歯を接触させる癖

  • 片側だけで噛む癖、スマホ、タブレット等の長時間下を向いた猫背姿勢、ほお杖やうつぶせ寝など日常生活の癖

  • 精神的なストレス(緊張や不安、気分の落ち込みの持続)

  • 不良なかみ合わせ(親知らずや人工的なかぶせものなど)

  • スポーツや事故などの顎の強打 など

長時間の下を向く猫背姿勢・
上と下の歯を合わせる癖

長時間の下を向く猫背姿勢・
上と下の歯を合わせる癖

顎関節症の治療

かかりつけの歯科医院で診察を受け、専門性の高い治療が必要であれば、大学や総合病院の歯科口腔外科で顎関節の専門外来をもつ施設に紹介してもらいましょう。
治療は、一般的にはスプリント(マウスピースのように上または下の歯列全体にかぶせるプラスチックの装置)を用いて、噛みしめた時の顎関節や噛む筋肉への負担を軽くさせる治療を行います。また症状によって非ステロイド系の鎮痛剤の服用や開口訓練、レーザー照射、マッサージなどの理学療法、歯ぎしり・食いしばり、歯牙接触癖、姿勢など日常の癖を修正する行動療法などを行います。

顎関節症のセルフケア

顎関節症は従来考えられていたほどやっかいな病気ではなく、その発症の多くは一時的であり、再発はしても最終的にはおさまっていく病気です。
顎の不調を感じたら顎関節に負担がかかる姿勢や硬いものの咀嚼は避け、顎も心もリラックスさせる生活を心がけましょう。